2024年注目すべき米国HRトレンド①

現代の激しいビジネス競争の中で、企業がビジネスゴールを達成するためには、適切なリソースの確保と効果的な人事戦略が欠かせません。2024年には、より効率的なハイブリッドワークモデルの導入やAIの活用、予測分析など、新たなHRトレンドが登場し、HRの現在と未来を刷新し続けています。

執筆者:Youjin Oh 【LinkedIn】 (HR Strategist, Corporate Planning: Pasona N A, Inc.)

1.ハイブリッドワークと従業員生産性向上

2024年になり、柔軟なワークモデルであるハイブリッド、および、リモートワークがますます普及しています。これにより、企業はオフィススペース管理にかかるコストが削減できるだけでなく、従業員のワークライフバランスの向上にもつながる可能性があります。AT&Tの調査によると、2024年までにハイブリッドワークは81%に急増すると予想されています。この動向に伴い、従業員の生産性向上に対する取り組みも強化されています。テクノロジーの活用やデジタルツールの導入に加え、データ分析を通じて生産性の測定や向上のための施策が行われています。人事部門では、生産性を総合的に捉え、戦略の取り組みや生産的な業務遂行をサポートするための組織づくりに重点を置く必要があります。

OECDの生産性指数と予測データによると、米国の労働者の場合、ヨーロッパや日本の労働者よりも約18%生産性が高くなっていますが、これは主に生産性を促進する情報通信技術(Information and Communication Technology)への投資によるものであり、技術を活かして生産性を高めるためにHRが果たす役割が強調されています。生産性に支えられた堅実な組織の業績は、企業に安定した雇用と企業の競争力をもたらし、従業員のウェルネスにも繋がる結果になります。

2.デジタルトランスフォーメーションとHRテクノロジーの進化

2024年の生産性についての話題において、Generative Artificial Intelligence(GAI)を避けることはできません。GAIを活用することで人材獲得と従業員エンゲージメント、労働力の管理などの効率性を高め、人事担当者を戦略的な業務に専念させることができます。AIやGAIに対する期待が高まっている中、活用とリスク管理に関する議論は続いていますが、まだ人事部門では効果的にAI関連の取り組みを実施する十分な準備ができていません。組織のリーダーは、どのようなHRテクノロジーを採用するかを評価するためのフレームワークを立てて、ガバナンス、労働力の準備状況、リスク、倫理に関する重要な問題に備える必要があります。

MIT研究レポートによると、フォーチュン500にランクされているソフトウェア企業では、顧客サポート担当者5,179人のオンボーディングのためにGAIを活用することで、オンボーディング期間を10ヶ月からわずか2ヶ月に短縮(500%の減少)でき、業務のクオリティーを約30%向上させたことが判明しました。

上記のような状況とニーズにより、2032年までに、HR市場におけるGAIの市場規模は、2022年の413.1百万ドルから1,669.3百万ドル程度になると予想されており、2023年から2032年の予測期間中に15.4%のCAGR (Compound annual growth rate: 年平均成長率)で成長する見込みです。

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《参考資料》

5 HR trends for 2024: what can you do to stay ahead?:Mercer
11 HR Trends for 2024: Elevating Work:AIHR
HR Trends for 2024: Analyzing the Future of Human Resource Management:Select Hub
Generative AI in HR Market:Market Research Reports

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