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【7/29/2026】人口は増えているのに、なぜ採用は難しいのか

人口は増えているのに、なぜ採用は難しいのか

人口と労働参加率から見る、州ごとに異なる米国の労働力

米国では人口が増え続けています。それにもかかわらず、多くの企業から聞かれるのは、「応募者が集まらない」「経験者を採用できない」といった声です。

人口が増えているのであれば、働く人も増えているはずですが、実際にはどうなのでしょうか。

結論から言えば、米国全体で働く人の絶対数は長期的に増えているものの、人口に対して働く人の割合を示す労働参加率は低下し、労働力の増加ペースも鈍っています。しかも、その増え方は全米で一様ではなく、地域によって差があります。

働く人の数は、2000年より増えている

働く人の割合を示す労働参加率は、16歳以上の人口のうち、働いている人と仕事を探している人の割合を指します。この労働参加率は、2000年ごろに67%台でピークを迎え、その後は長期的に低下しました。2025年の年平均は62.4%、2026年6月には61.5%となっています。

【全米の労働参加率の推移】

出典:U.S. Bureau of Labor Statistics, Civilian labor force participation rate

ただし、参加率が下がったからといって、働く人の数そのものが減り続けているわけではありません。

BLS(米労働統計局)によると、米国の労働力人口は2000年の約1億4,260万人から、2025年には約1億7,080万人へ増加しました。25年間で約2,800万人、約20%の増加です。人口の増加が、労働参加率の低下を上回ってきたためです。

つまりこれまでの米国では、人口が増えることで参加率の低下が補われ、働く人の総数はむしろ増えてきました。

ただし企業にとって重要なのは、単に人数が増えているかどうかだけではありません。人口に占める高齢者の割合が上昇すれば、人口が増えても労働力は同じペースでは増えません。また、労働力が増えていても、企業数や求人数、必要とされるスキルがそれ以上に増えれば、採用難は続きます。

人口増加のペースにも変化

米国の人口は2025年7月時点で約3億4,180万人となりましたが、2024年からの増加は約180万人、0.5%にとどまり、前年の1.0%から減速しています。主な背景は、海外からの純移住者数の減少です。

こうしたなか、人口増加の鈍化と高齢化による参加率の低下が重なれば、労働力人口はこれまでのようには増えなくなる可能性があります。人口が増えているから採用候補者も自然に増える、という前提は、次第に成り立ちにくくなっています。

州別に見ると、状況は大きく異なる

人口と労働力の動きは、州によって大きく異なります。

代表的なのがテキサス州で、2025年の人口は約3,171万人と前年から1.2%増え、労働参加率も2025年年平均で64.8%と全米平均(同62.4%)を上回っており、16歳以上の労働力人口も2025年年平均で1,550万人を超えています。人口が増えているだけでなく、比較的高い割合の住民が労働市場に参加している州といえます。ただし、企業進出と雇用の増加がこのまま続けば、候補者の増加以上に採用需要が拡大するため、人口が増えている州だからといって採用が容易とは限りません。

同じ南部でも、ジョージア州の労働参加率は2025年年平均で60.6%と全米平均を下回っており、人口の流入がある地域であっても、そのすべてがすぐに企業の採用対象となるわけではないことがわかります。

一方、イリノイ州の労働参加率は2025年年平均で63.8%と全米平均を上回っており、中西部は人口の伸びが弱いという印象があるものの、労働参加率だけを見れば必ずしも低いわけではありません。実際、2025年には中西部全体の国内人口移動も今回の10年間で初めてプラスに転じ、、オハイオ州やミシガン州でも国内への人口流出に改善が見られています。

さらにニューヨーク州とカリフォルニア州を見ると、労働参加率は2025年年平均でそれぞれ61.3%、62.5%でした。両州とも巨大な労働市場を持ちながら、参加率は全米平均と同程度かそれを下回っており、人口規模が大きいことと候補者を採用しやすいことは別の話だといえます。

南部では働き盛りの人口も増加

州別の採用環境を考えるうえでは、人口の総数だけでなく、どの年齢層が増えているかも重要です。この点で目立つのが南部で、2020年から2025年にかけてすべての年齢層で他地域より高い人口増加を記録し、なかでも全米4地域のうち唯一、18歳未満と45~64歳の人口がともに増えています。

一方、45~64歳の人口は北東部で7.1%、中西部で6.2%、西部で2.7%減少し、企業で管理職や専門職として即戦力になりやすい年齢層が、地域によっては縮小しています。

【45〜64歳人口の地域別増減(2020〜2025年)】

出典:U.S. Census Bureau, Vintage 2025 Population Estimates

そのため、州の人口が増えたかどうかだけでは、採用市場を正確に判断できません。確認すべきなのは、次の点です。

  • 生産年齢人口が増えているか
  • 労働参加率が高いか
  • 労働力人口が実際に増えているか
  • 自社が必要とする年齢層や職種が地域にいるか
  • 労働力の増加以上に、企業の採用需要が拡大していないか

「人口が多い州」ではなく、「必要な人材が増えている地域」を見る

米国全体では、人口増加によって労働参加率の低下が補われ、働く人の絶対数は増えてきました。しかし今後は、人口増加の鈍化と高齢化により、その増加も止まりに近づくとみられます。

しかも州ごとに見れば、人口、年齢構成、労働参加率、企業進出の状況はさまざまです。人口が増えているテキサス州でも採用需要が急増すれば競争は激しくなり、逆に人口増加が緩やかな中西部にも、比較的高い労働参加率や人口移動の改善が見られる地域があります。

そのため今後の採用計画では、全米平均や人口の総数だけでなく、自社の拠点がある州や都市で実際にどのような働き手が増減しているかを見ていくことが欠かせません。人が多い場所かどうかではなく、自社が必要とする人材が集まり、働き続けられる地域かどうか。この視点が、これまで以上に重要になっています。

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主要参照データ

  • BLS State Employment and Unemployment — May 2026(2026年6月23日発表、USDL-26-1019)
  • BLS Local Area Unemployment Statistics(LAUS)/州別の労働参加率・労働力人口(2025年年平均)
  • BLS The Employment Situation — June 2026(2026年7月2日発表/全米失業率・労働参加率の月次補足)
  • U.S. Census Bureau, Vintage 2025 Population Estimates(2025年7月1日時点の人口、州別人口・増減率)
  • U.S. Census Bureau, Population Estimates — Components of Change/地域別の年齢構成・国内人口移動