未来の医療を担うために~アメリカでの挑戦~

未来の医療を担うために~アメリカでの挑戦~

成り立ちとミッション

──「メディカロイド」というコーポレートネームはMedical(医療)とAndroid(ロボット)を語源とし、御社の使命である医療用ロボットを意味しておられるようですが、御社の成り立ちとミッションについてお聞かせ頂けますか?

メディカロイドは、2013年、産業用ロボットのリーディングカンパニーである川崎重工業株式会社と、検査・診断の技術を保有し、医療分野に幅広いネットワークを持つシスメックス株式会社の共同出資により設立した会社です。設立のきっかけは、川崎重工業の現社長である橋本とシスメックスの現社長である浅野との間にあった旧知の仲でした。橋本は学生時代のボランティア経験から医療に関して事業をやっていきたい、医療にロボットで貢献したいと考えており、当時シスメックスの研究開発の責任者であった浅野に声をかけたのがきっかけです。こうして、川崎重工業の産業用ロボット技術、シスメックスの医療分野で培われた知見を掛け合わせて” 患者様、患者様のご家族の方々、医療従事者の皆様、そのすべての方々が安心して暮らせる豊かな社会へ貢献する”ことを目指してメディカロイドが誕生しました。2015年から製品開発を開始し、約5年の開発期間を経て、弊社の手術支援ロボット「hinotoriTMサージカルロボットシステム」が完成しました。これは業界内でも非常に速いスピードで製品開発から薬事承認までこぎつけています。

──非常に速いスピード感をもって開発されているかと思いますが、貴社の強みに繋がる部分ですよね。

川崎重工業とシスメックスは両社共に半世紀以上にわたって事業をしてきたバックグラウンドがあり、それぞれノウハウを持っています。川崎重工業は日本で初めて産業用ロボットを実現したロボットに関する高い技術を持っていますし、シスメックスもヘルスケアの検体検査領域ではグローバルトップ10内、日本では血液事業で一番のシェアを持つ企業です。このように、両者のコアコンピタンスがメディカロイドに生かされているというのは大きな強みですね。また、両社の折半出資でメディカロイドを設立しましたので、資本面も安心して事業展開できることは、一般的なスタートアップとの違いになるかと思います。技術面と財務面の双方共に安定しているからこそ、ビジネスを加速して進められる環境があり、これは他社にはない強みだと思っております。

──貴社製品「hinotoriTMサージカルロボットシステム」ですが他社製品との差別化はどのようにされているのでしょうか?

他社製品はこの手術の世界を変えた、パイオニアとして素晴らしい装置であると思っています。後発の我々としては日本製ということの信頼性やサポートでいかにお客様に満足してもらえるかという部分が大事だと考えています。病院の先生方は手術をより良くしたいということで、ロボットのみならず、いろんな医療機器に対してご意見やご要望をお持ちなんですね。ただ、医療機器は承認が必要な製品なので、お客様の声を聞いて簡単に製品に反映することが難しくもあります。我々は極力、先生方のお声を聞いて、それを製品に反映するということを迅速に実現できるようにずっとやってきています。

──お客様に寄り添う形で柔軟に対応できる仕組み作りがされているのですね。

はい。病院の先生方にとっていかに使い勝手がいいものかという点を重視しておられ、それが治療に結びつく部分でもあるので、日本ではメディカロイドが少しずつ浸透してきていると感じます。一方で、アメリカ市場ではマーケットでの位置づけがまた変わってきますので、今後の事業展開における課題は日本とは違った形で出てくるかなとは思っています。

アメリカへの進出

──アメリカ市場への進出に関して今はどのようなフェーズでしょうか?

アメリカには2015年に会社を設立しました。当時は4名で、社長が日本からの出向で1名、その他3名は現地の方でした。日本でも製品開発の段階でしたが、アメリカの病院の先生方の声も聞きたいということもあり、早期にマーケティングの機能としてアメリカ拠点を立ち上げました。目下のミッションはアメリカでの販売に向けてFDA申請に必要な要件を揃えていくということになります。

──医療という分野で言いますとアメリカは最先端の技術の情報を吸い上げるには最適な拠点のイメージがあります。実際にマーケティングの機能として製品開発段階で拠点を立ち上げられていかがでしたか?

おっしゃるイメージの通りで、弊社のオフィスはカリフォルニアのサンノゼにあるのですけれども、その周辺には医療機器メーカーの本社が沢山ありますね。いわゆる、シリコンバレーという場所で半導体産業が盛んな地域ではありますが、メドテックの盛んな場所でもあります。なので、医療ロボットに注目している先生方が多数集う場所にもなっています。ですので、業界の主要なオピニオンリーダーとのコネクションを作り、製品を試作機の段階で送って先生方から実際に評価をいただくことが出来ています。また、お客様が使用される上でリスクがないのかといったユーザビリティ評価や、非臨床での評価なども行い、開発に活かしております。先ほど申し上げた通り、FDA申請の準備段階なので、アメリカ市場での製品ローンチはもう少し時間が必要で、まだ販売開始はしていません。 国単位でみると最大のマーケットはアメリカですので、サラリーマンとしての私の人生においても非常に大きなチャンスをいただき、今アメリカにいるということに感謝しております。

アメリカ拠点における組織体制や人事制度

──進出のタイミングでは4名体制とのことでしたが、現在体制の変化はいかがでしょう?また、今後のどのような人財、組織体制が必要かなどありますか?

現在は7名ですね。駐在は私のみで他社員は現地の方となります。体制については、日本本社のメディカロイドと同様の考えですが、メディカロイド自身として大きくリソースを構えるのではなく、川崎重工業とシスメックスのリソースを使わしていただける部分は協力してもらいつつ、メディカロイドでコアの部分を担いたいと思っています。 現状、マーケティングや薬事・臨床開発の担当者などある程度はそろっていますが、経理と給与の部分はパソナさんにご協力いただき、私が見ている状況ですね。本来はそのあたりをマネジメントするアドミニ的な存在が1人いると助かるのかもしれないですが、現時点では自分自身でやることが経営者として勉強になるのですごくやりがいを感じながらやっています。 人事や経理に関してわからないことがあったらプロフェッショナルサービス部の方々に相談したり、パソナの加藤さんにお願いしてこの間もトレーニングを受けさせていただきました。おかげさまで何とか今約10ヶ月過ごしてきておりますが、こういうことは現地法人に赴任した責任者でないと経験できないことでもあり、得がたいものかなと思うので、会社へも感謝ですし、パソナにもすごく感謝しています。今すぐにアドミニの方を入れるというよりかは、今こうやって御社と一緒に仕事しているのは楽しいのでこれはこれでいいと思っています。笑

──アメリカの雇用市場については経済動向にも影響を受けますが、引き続き、増加傾向になると、雇用動向指数(ETI)の動きからも見て取れます。良い人財の獲得と定着に向け、企業は給与・福利厚生の見直しなど、トータルコンペンセーションにおける工夫を凝らしていますが、御社はいかがでしょうか?

最近1人採用をしましたが、その方を採用するまでには時間を要しました。こちらの思いとマッチする人材でなかったり、オファーレターを出したけど断られたりということで、半年ぐらいはかかったと思います。要因は色々あると思いますが給与面や福利厚生など、他社と違う何かを今は提供できていないので、このあたりは今後の課題かもしれないですね。今はアメリカでこの新しい医療ロボット事業をやっていくんだという志で組織が保てている部分もあるので、社員の定着という観点でも今後考えていきたいです。その為にはアメリカの文化を理解しつつ、弊社でも長く働いてもらえるための人事施策っていうのを考えないといけないと思います。日本とはまた違うカルチャーや働いている人たちの考えもあるので。そこは私がまだ理解できていない部分も多いですが、そういった部分を御社からいただくメールマガジンで雇用情勢とかを読みながら、学んでいかないといけないと思っております。

ビジネスパートナーとしてのPASONAの存在

──メルマガのご購読ありがとうございます。その他にも弊社サービスをご利用頂いておりますが、いかがでしょうか?

経理にしても人事にしても法令に遵守しないといけないということで、日本だったら当然、それぞれの専門家がいたりするので問題ないのですが、アメリカにおいては私が責任を持ってやらないといけないとなったときに、どうしてもその辺が、不安なことも多々あります。加藤さんへご相談させて頂き、これをどうしていきましょうか、ということで、本当にいろんなご提案をいただきながら、サポートをしていただいてます。加藤さんなくして私のアメリカ駐在生活は成り立たないです。

──嬉しいお言葉をありがとうございます。今後も良きビジネスパートナーとサポートさせて頂ければと思いますが、現在抱えている課題や弊社パソナに今後期待することはありますか?

会社として、従業員に不利益を与えないよう、法令をきちんと順守し、従業員に必要なものを提供することや、着実に業務を進めることが私の使命だと考えています。そのために、加藤さんからご提案いただいたトレーニングを受けましたし、今後は定期的にVHRBPを利用してアドバイザーの方とご相談をさせて頂きます。経理や給与の部分についても、私の質問に対してプロフェッショナルサービス部の方々から丁寧にご対応頂いて大変助かっております。今後も、課題を発見した際は、その都度加藤さんにご相談させて頂きますが、現時点では満足しております。ぜひ今後とも引き続きよろしくお願い致します。

メディカロイドにとってのサクセスとは

──こちらこそ、引き続き今後ともよろしくお願い致します。最後になりますが、メディカロイドにとってのサクセス、そして田村社長にとってのそのサクセスを伺えればと思います。

アメリカのメディカロイドとしては、「hinotoriTMサージカルロボットシステム」をアメリカ市場にまずはローンチするというのがサクセスです。ただ、そういったビジネスとしてのサクセスファクト、いわゆる利益を上げて会社として大きくなっていく必要はありますが、それだけがサクセスではないと思っています。我々の本来の想いは「患者様の治療に役立ち、患者様の回復に寄与し、患者様だけでなくその方のご家族、そして医療関係者の方々が笑顔になる安心した社会を実現すること」です。アメリカにおいてもこの想いを実現できたら、本当の意味でのサクセスだと考えています。 私個人としてはアメリカでこの会社のミッションを責任者として果たせることができれば、サクセスといえるのかなと思います。実は、私は大学と大学院でロボット工学を学んでおり、当時、医療に技術で貢献できることはないのか?という想いがありました。卒業後、シスメックスに入社しましたが、入社当初はロボットとは関係ない機械設計の仕事をしておりました。そんな中、メディカロイドの設立に向けた研究会へ浅野に引き入れてもらい、そこで橋本に出会ったことがきっかけで、約15年ぶりにロボットの世界に戻り、今、巡り巡って昔自分が思い描いていたことを実現する機会に恵まれることになりました。 振り返ってみると、人とのご縁でここまで来たと思います。雲の上の存在だと思っていた2人(川崎重工業 橋本・シスメックス 浅野)と直接仕事ができたことは本当に貴重な経験でした。アメリカに来てパソナの加藤さんに会えたこともご縁ですよね。

──御社もこれからビジネスのステージがシフトしていくと思いますが、このご縁を大事に、ステージに応じた適切なサポートをさせていただければと思います。

加藤さんからも、お客様のステージに応じたサポートをすることがパソナの役割だという話を伺っています。メディカロイドのビジネスステージをご理解いただき、かつ、私の能力や経験にも目を向けて頂いて、様々なご提案をいただけているので、カスタマーサクセスという名前が本当に加藤さんにはぴったりだと思います。 これまで通り、いろんなことをご相談させて頂きたいと思いますので、その都度、ご提案いただき、実現に導いていただけると嬉しいです。今後ともご支援よろしくお願いします。面倒くさがらないでくださいね!笑 

──引き続きご指導いただきながら、カスタマーサクセスとしてお客様と同じ目線で並走していければと思います。本日はありがとうございました。

会社概要

MEDICAROID, INC.

MEDICAROID, INC.

https://www.medicaroid.com/top.html

事業内容 :
会社概要:医療用ロボットのマーケティング、開発、設計、製造、販売、アフターサービスを手がける日本(神戸)に本社を置く株式会社メディカロイドのアメリカ現地法人。株式会社メディカロイドの主な製品は「hinotori™サージカルロボットシステム」