【8/13/2026】給与の伸びは落ち着いても、企業の人件費は増え続けている

給与の伸びは落ち着いても、企業の人件費は増え続けている
総報酬でみる待遇設計 ― 採用・定着への示唆
BLSが2026年7月31日に公表した第2四半期の雇用コスト指数(ECI)では、民間企業の総報酬が前年同期比+3.3%となった。給与の伸びは鈍化する一方、福利厚生のコストは+3.8%と最も高い伸びを示し、人件費を押し上げている。
さらに物価上昇を差し引いた実質給与は−0.4%と目減りしており、社員は昇給しても生活の余裕を感じにくい。採用・定着の観点では、給与単体ではなく福利厚生を含めた「総報酬」で自社の競争力を評価し、社員への説明も待遇の全体像で行うことが重要となる。
2026年第2四半期 雇用コスト指数(ECI)の内訳
民間企業が従業員にかけている総報酬(給与・賞与に医療保険や退職給付などの福利厚生を加えたもの)の前年同期比は以下のとおり。
表. 民間企業の人件費は福利厚生が主導(2026年第2四半期、前年同期比)
| 項目 | 前年同期比 | 意味 |
|---|---|---|
| 総報酬(給与+福利厚生) | +3.3% | 全体の伸び。人件費の総量 |
| 給与・賃金 | +3.1% | 賞与を含む現金報酬 |
| 福利厚生 | +3.8% | 医療保険・退職給付など。伸びが最も大きい |
| 実質給与(物価調整後) | −0.4% | 物価上昇を差し引くと目減り |
※ 季節調整なし、前年同期比。実質給与は物価調整後(constant dollar)。
分析結果からひも解く:伸びているのは給与より福利厚生
総報酬の伸び+3.3%のうち、給与・賃金は+3.1%にとどまる一方、福利厚生は+3.8%と最も大きい。つまり人件費を押し上げている主因は給与ではなく、医療保険や退職給付を中心とした福利厚生コストである。給与の伸びだけを見ると人件費は落ち着いたように映るが、総報酬でみると企業の負担はなお増え続けている。
従業員側の実感も重要だ。名目の給与は増えていても、物価上昇を差し引いた実質給与は前年より0.4%目減りしている。昇給しても暮らしが楽になったと感じにくく、待遇への満足度は数字ほど上がらない可能性がある。
採用・定着への示唆
福利厚生コストの上昇と実質給与の目減りという二つの動きを踏まえ、人材戦略では次の四点が要点となる。
予算・管理を総報酬で行う。
人件費は「給与」でなく「総報酬」で管理し、給与の伸びが落ち着いても福利厚生を含む総負担は増える前提で予算を組む。コストの内訳(特に医療保険)は定期的にレビューする。
競争力は総報酬ベースで評価する。
報酬ベンチマークを給与単体でなく総報酬で実施し、保険・退職給付まで含めた待遇全体で他社と見劣りしないかを点検する。
社員への伝え方を全体像で見直す。
総報酬明細(トータル・リワード・ステートメント)で会社の負担額を可視化し、実質給与が目減りする局面でも待遇の価値が正しく伝わるようにする。
金銭以外の価値も組み込む。
物価と実質給与の動向を踏まえ、柔軟な働き方やキャリア支援など非金銭的な価値も待遇コミュニケーションに含める。
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主要参照データ
- U.S. Bureau of Labor Statistics, Employment Cost Index — June 2026(2026年第2四半期、2026年7月31日公表。民間企業労働者・季節調整なし・前年同期比)