事業継続計画(BCP)について ― Virtual HRBPポータル内掲載記事のご紹介 ―

人事/労務/経理

更新:09/23/2021

米国パソナでは、在米日系企業様の人事課題を解決するため、サブスクリプション型支援ポータル「Virtual HRBP(バーチャルHRビジネスパートナー)」を展開しています。同ポータルでは、在米日系企業経営層から寄せられた様々な課題をもとに、これらを分析のうえ、人事にまつわる課題を7つの項目にて掲載。また、検索記事に対するコメント機能もあり、ご利用者同士が気軽に情報共有できる場「コミュニティ」としてもご活用いただいております。今回は、同ポータルに掲載されている記事の中から、経理に関連する記事をひとつご紹介させていただきますのでぜひご参照ください。

経理部門の事業継続計画(BCP)について

経理部門の事業継続計画(BCP)を考えたことはありますか?事業継続計画を作成する上で最も優先されることは顧客向けサポート業務です。新型コロナウイルスが猛威を振るう前までは、経理部門の事業継続計画の作成を後回しにされる企業が多い傾向にありましたが、今回のような危機が今後も起こりうることを念頭に、経理部門の事業継続計画(BCP)を作成している企業も増えてきています。

 


 1.事業継続計画(BCP)とは?

 

BCPとは、Business Continuity Planの略で、災害や事故など不測の事態を想定し、事業に与える影響を最小化し、事業の中断を防ぐための対応策をまとめたものです。不測の事態が発生してからBCPの見直しを行うのではなく、未来を見据えてプランを作成し、定期的に見直しを行うことが大変重要になります。困難な環境下でも、どのように事業を継続するのかということに焦点を当てるBCPは、多くの米系企業では以前から策定されていました。日本企業においても、2011年の東日本大震災以降、災害対策のみではなく、BCPの策定を行っている企業が増えてきていたものの、2019年の帝国データバンクのレポートによると「策定している」と回答した企業は15.0%のみで、依然としてBCPの策定が進んでいない実態が浮き彫りとなっていました。このような状況下で2020年には新型コロナウイルス感染拡大が起こり、各企業が緊急対応に追われました。また、コロナ禍において、私たちの価値観や経営環境の変化がもたらされました。もはや、以前策定したBCPでは対応できない企業が増え、戦略とオペレーションの変化に対応したBCPの見直しを迫られている企業が多くなっています。事業全体でBCPを考えるとなると壮大に感じるかもしれませんが、経理業務へとスコープを狭めるとシンプルに考えることができます。

 


2.経理業務が考えるべき想定レベル

 

災害時と言っても、感染症・地震・火災・停電など様々な想定レベルがあります。それぞれの災害に対してのBCPを作成することは大変ですが、広範囲に及ぶ災害に対して対応策を立てることで、ほとんど全ての問題に対して対応できます。 例えば地震が発生し、経理部の入ったビルが崩壊してしまった場合などを想定してみましょう。この場合、電気・インターネット・銀行業務・道路などのインフラが断絶されることが予測されます。それらインフラの復旧にかかる日数を想定し、その中で経理業務を支障なく行うために、何を準備し、地震発生後にどの手順で業務を行うのかを考えることができます。

 


3.経理業務のBCPが必要な業務の抽出

 

企業によって違いはありますが、経理業務の中で、不測の事態に対応策を考えておくべき必要最低限の業務としては、下記3つが上げられます。

  • 従業員への給与支払い
  • 取引先への支払い(支払い業務のための資金繰り)
  • 売掛金の回収

もちろん、月次や四半期の決算処理も重要な経理業務ではありますが、ここでは優先順位を下げています。支払いができないことにより事業継続に支障が出てしまうことや、従業員への給与支いが止まることによる弊害の方が事業継続という観点から考えると重要視されるケースが多いです。もし、決算業務のBCP作成が必要と感じる場合は、決算がどのくらい遅れると、どのようなリスクを会社に与えるのか事前に確認を取ると良いでしょう。

 


4.シュミレーション

 

想定レベルとBCPが必要な経理業務の洗い出しができたら、想定レベルに合わせて各業務のシュミレーションを行っていきます。そうすることで、現行体制において事業継続のために足りていないことが浮き彫りになります。問題なく事業継続計画を立てられる体制であった場合は、部内でシミュレーションを共有し、同じ理解、同じ動きを取れるように訓練する必要があります。

ここでは、オンライン給与システムを利用して給与支払いを行っている企業の従業員への給与支払い業務にてシュミレーションをしてみましょう。

 

●オフィス勤務ができない

災害のなかった他支店やグループ会社の担当者に給与支払い業務の依頼は可能でしょうか?依頼先がない場合、緊急時に自宅・他支店など、別の場所での業務継続が可能でしょうか?その場合、パソコンなど必要なツールは揃いますか?
会社としてのポリシーの見直しが必要になるかもしれません。緊急時のオフィス外での業務は、何をどこまで行って良いのか、業務範囲を明確にしておく必要があります。給与データや資料がオフィスにのみ保管されている場合、別の場所での業務を行う際にデータ収集などに時間がかかります。別の場所からでも最新データにアクセスできるようなデータ管理方法の構築が大切です。

 

●インターネットにつながらない

オンラインの給与システムを利用している場合、インターネットが切断されているとシステムからの給与支払いができません。インターネットの復旧が見込めない場合、インターネットのつながっているエリアへの早急な移動や、モバイルインターネットなどの手段をいくつか考えておくべきでしょう。
給与システムだけでなく、昨今はインターネットに依存した業務がほとんどになっています。「インターネットにつながらなくても業務ができる体制を作る」というのはあまり現実的ではありませんので、どちらかと言うと、「どのようにして速やかにインターネットにつながる環境を作るか」を考える必要があります。

 

●オンライン給与システムにつながらない
インターネットに接続できている場合でも、オンライン給与システムがダウンしてしまっている可能性があります。システムからの給与支払いができない場合でも、銀行からの振込みや、小切手の振り出しができる可能性もあります。どこかのタイミングでオンラインシステムでの給与支払いを諦め、他の手段を選択する必要が出てきます。緊急時の状況下で、そのタイミングを見計らうのは難儀ですので、予め、いつまでに給与システムにつながらない場合は、他の手段での支払い準備に取り掛かるかを決めておくことをお勧めします。

 

上記は給与支払いの例でしたが、まずはスプレッドシートの縦軸にBCPが必要な業務、横軸に想定するシチュエーションを書き出すところからスタートしてみてください。それぞれの業務に対して、同じようにシュミレーションを行い、一つひとつの業務に対しての計画を作り、書面化、社内共有を行ってください。そして一度計画をしたら安心ということではなく、システムやツールは日々変わりますので、定期的に見直しが必要となります。

 


最後に

 

最後に、BCPを作成する上での大前提は、業務を属人化させないことです。せっかくBCPがあっても、業務が属人化してしまっていては、緊急時にその担当者が身動きが取れない場合、緊急対応は停滞してしまいます。業務のリスト化を行い、優先順位やフローの整理、マニュアルの整備を行っておくことが重要です。また、外部への委託などによる業務リスクの分散などもひとつの方法です。BCPの作成は、社内でのバックアップ体制ができているのか、業務リスクの分散がされているのかなどを今一度見直すチャンスになります。「備えあれば憂いなし」。経理業務の事業継続計画を作成されることを推奨します。

 

《参考資料》
事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)(帝国データバンク・2019年6月13日)

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