一部外国人就労者のビザ発給停止に関する大統領令概要

法律

更新:07/06/2020

先日発令された「一部外国人就労者のビザ発給停止に関する大統領令」について、冨田法律事務所様に情報提供をいただきました。その概要とFAQをご紹介させていただきます。

一部外国人就労者のビザ発給停止に関する大統領令の概要

トランプ大統領は、6月24日より、H-1B、H-2B、一部J-1、L-1、及びその帯同家族の非移民ビザの発給を年内停止する大統領令に署名をしました。新型コロナウイルスの影響で、米国大使館・領事館は、3月より一部例外を除き、ビザ面接を停止している為、今回の措置が及ぼす実質的な影響は、主に例外的に発行されていた一部のビザカテゴリー(緊急面接、及び郵送での更新)に限られますが、秋の大統領選を意識したトランプ大統領の動きともみられ、ビザ取得が困難な状況が当面続く見込みです。

今回の大統領令は不明確な点が多く、今後追加のガイドラインや事例により、適用範囲や例外がより明確になるはずですが、米国に拠点を持つ日系企業様より沢山のご質問を頂いておりますので、頂いたご質問をもとに、現在分かる範囲で情報を纏めました。少しでもお役に立てれば幸いです。


免責事項

本資料の内容に関しましては、正確性の確保に万全を期しておりますが、その内容についていかなる保証をするもの、及び法的アドバイスの提供を目的とするものではありません。従って、本資料の利用によって何等かの損害が発生したとしても、一切の責任を負いません。具体的な法律事項に関しましては、必ず専門家にご相談下さい。特に、今回発令された大統領令の内容は明確になっていない点が多く、発令後に各政府当局よりガイダンスが発表されるなど、非常に流動的な状況です。これまでの事例や現時点で出ている情報を基に、大統領令の施行について解説しておりますが、今後新たな事例やガイダンスが出る事により、情報が古くなる可能性がございます事ご承知おきください。


【背景】

今回対象となる非移民ビザによる労働者(H-1B、H-2B、一部J-1、L-1)の受け入れは、コロナウイルスの影響を受け失業した米労働者の雇用機会へ悪影響を及ぼすとし、米国の国益に反するとしてビザ発給を停止し、当該外国人労働者の入国が制限されました。

【大統領令】

6月22日付の大統領令 (Presidential Proclamation 10052):https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-suspending-entry-aliens-present-risk-u-s-labor-market-following-coronavirus-outbreak/

6月29日付の大統領令-Presidential Proclamation 10052の改正:https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-amendment-proclamation-10052/

【概要】

(1)4月22日に発令された、一部永住者の入国を停止及び移民ビザ発給を停止する大統領令(Presidential Proclamation 10014)の実施期間を2020年12月31日まで延長。

(2)下記カテゴリーのビザ発行(更新も含む)を停止し、2020年6月24日の時点で以下カテゴリーの有効なビザを保持しない者の入国を認めない

 

・H-1Bビザとその帯同家族用のビザ(H4)

・H-2Bビザとその帯同家族用のビザ(H4)

・一部Jビザ(インターン、トレーニー、教師、キャンプカウンセラー、オ・ペア、サマーワーク・トラベルプログラムへ参加する申請者に限る)とその帯同家族用のビザ(J2)

・Lビザ(L1 ブランケットビザも含む)とその帯同家族用のビザ(L2)

(3)以下は適用外

 

・大統領令で触れられていないビザクラス(E-1/E-2、O、P、Q等)

・ESTA申請、及びESTAでの入国

・米国移民局(S. Citizenship and Immigration Services)を通しての米国内でのステータス変更や延長申請

・現在米国内で就労中のビザ保持者(ただしビザ更新は不可)

・6月24日の時点で、有効なビザを保持する就労者とその帯同家族(ただしビザ更新は不可)

・永住権保持者

・米国市民の配偶者と子供

・米国の食品サプライチェーンに必要不可欠な業務を提供する為に渡航する外国人労働者

・米国国務省、若しくは米国国土安全保障省の判断により、米国へ国益をもたらすと判断された外国人労働者(防衛、法執行、国家安全保障、外交、米国の経済回復に必要な人材、COVID-19に関わる医療従事者等)

*米国入国に関しては、米国税関・国境取締局(CBP)が最終的に判断しますが、一般的に入国許可の保証はなく、過去の事例では大統領令が正しく適用されず、間違って入国を拒否されるリスクも考えられるため、状況が落ち着くまで渡航は控えた方が良い。

【実施期間】

2020年6月24日~2020年12月31日 ※変更や延長の可能性あり

【追加情報】

⚫国務省ツイッター:https://twitter.com/TravelGov/status/1275576592249438208

⚫USCISの声明:https://www.uscis.gov/

⚫東京大使館ツイッター:https://twitter.com/USVisaTokyo/status/1275619493654364161

よくあるご質問

<ビザに関するご質問>

①今回の大統領令の適用外となっているビザは何ビザですか?大使館は、当大統領令の適用外となっているビザカテゴリーにおけるビザを発行していますか?

H-1B、H-2B、一部J-1、L-1以外のビザは対象外です。即ち、E-1/E-2、O、P、Qビザ等は引き続き、ビザ申請が可能ですが、3月以降、新型コロナウイルスの影響で、米国大使館・領事館のビザ面接が、一部例外を除き停止されている状態です(一時的に面接予約が可能となったりしますが、予定日の数週間前にキャンセルされるパターンが繰り返えされています)。郵送でのビザ更新、または緊急面接の条件を満たさない場合は、米国大使館・領事館のビザ面接が再開されるまでお待ち頂く必要があります。

 

②有効なH-1B、H-2B、J-1(インターン、トレーニー、教師、キャンプカウンセラー、オ・ペア、サマーワーク・トラベルプログラムへ参加する申請者)、L-1ステータスで米国に滞在中ですが、当該ビザは失効済みです。この場合、当大統領令はどのような影響がありますか?

米国内でのステータスに影響はないので、ステータスの期限まで滞在が可能ですが、出国してしまうと、新たなビザが発行されるまで再入国が出来なくなります。米国内でのステータス延長または、ステータス変更の条件を満たす場合は、米国内で手続きを済ませた方が良いです。

 

③有効なH-1B、H-2B、J-1(インターン、トレーニー、教師、キャンプカウンセラー、オ・ペア、サマーワーク・トラベルプログラムへ参加する申請者)、L-1ステータスで米国に滞在中ですが、10月にビザが失効します。日本へ一時帰国してビザを更新する事は可能ですか?

いいえ、米国大使館・領事館はこれらの更新申請も受け付けていません。ビザ失効後に出国をしてしまうと、新たなビザが発行されるまで再入国が出来なくなる為、米国内でのステータス延長または、ステータス変更の条件を満たす場合は、米国内で手続きを済ませた方が良いです。

 

④有効なH-1B、H-2B、J-1(インターン、トレーニー、教師、キャンプカウンセラー、オ・ペア、サマーワーク・トラベルプログラムへ参加する申請者)、L-1ステータスで米国に滞在中で、有効な当該ビザも保持しています。今後も出入国は可能ですか?

はい、今回の大統領令は米国内でのステータスへは影響せず、また、有効なビザは取り下げられませんので、出入国は可能です。ただし、入国許可は、米国税関・国境取締局(CBP)が判断する為、一般的に入国許可の保証はなく、入国管理における大統領令の適用に関する間違った解釈で入国を拒否されるリスクも考えられます。状況が落ち着くまで渡航は控えた方が賢明です。

 

⑤米国外に滞在中で、移民局が発行した、H-1B/H-2B/L-1のI-797 Approval Notice許可書、移民局/米国大使館・領事館が許可したLブランケットのI-129S、または認可団体が発行したJ-1のDS-2019(資格証明書)を保持していますが、有効なビザは持っていません。この場合、当大統領令はどのような影響がありますか?

 6月24日の時点で米国外に滞在中で、且つ同日に有効なビザを保持していなかった場合は、今回の大統領令が適用されます。大統領令が失効し、新型コロナウイルスの影響により停止中の大使館のビザ面接が再開されるまで、米国外で待機となります。

 

⑥米国外に滞在中で有効な、H-1B/H-2B/L-1/J-1ビザを保持しています。このビザでの渡米は可能ですか?

はい、この大統領令により有効なビザが取り消される事はないと国務省が発表しています。そのビザを使用して渡米する事が可能です。

 

⑦食品サプライチェーンに関する免除にQualifyするにはどのような手続きが必要ですか?どのような判断基準ですか?

米国大使館・領事館の領事が、判断する権限を持っていますが、国務省が国土安全保障省と労働局と相談の上、方針を決める事になっています。判断基準は、現時点では明確ではないですが、今後事例やガイダンスが出てくると思います。

 

⑧国益に関する免除にQualifyするにはどのような手続きが必要ですか?どのような判断基準ですか?

米国大使館・領事館の領事が、個々のケースで判断する権限を持っていますが、国務省、労働局、国土安全保障省が、判断基準を設定する事になっています。今後事例やガイダンスが出る事により、より明確になると思いますが、主に防衛、法執行、国家安全保障、外交、米国の経済回復、及びCOVID-19に関わる医療において国益をもたらすとされる申請者が条件を満たすとされています。

 

<移民局(U.S. Citizenship and Immigration Services)における申請手続きに関するご質問>

⑨有効なH-1B、H-2B、J-1(インターン、トレーニー、教師、キャンプカウンセラー、オ・ペア、サマーワーク・トラベルプログラムへ参加する申請者)、L-1ステータスで米国に滞在中で、移民局にてステータス延長/ステータス延長申請中です。当大統領令の影響はありますか?

米国における移民局での手続きは、当大統領令の対象外である為、影響はありません。


情報提供ご協力:冨田法律事務所 https://www.tomitalaw.com/home

この記事をシェアする