タレントアクイジションとは何か?Part 1 -誕生の背景、取り巻く環境など-

人事・組織

更新:06/03/2021

近年、企業間の熾烈な人材獲得競争を背景として、米国企業を中心に広まりつつある「タレントアクイジション」という採用手法をご存知でしょうか?

企業が生き残りをかけて、新規ビジネスを立ち上げや、また従来サービスのグローバルな拡大を模索するなか、自社の未来を担う優秀な人材を勝ち取る必要性が増しています。同業界・業種だけでなく、異業界・業種間においても、人材獲得合戦が激化しつつあるなかで生まれたタレントアクイジションですが、その定義は「人材獲得戦略立案、自社にとってのタレント人材の分析と定義、中長期的な採用ブランド構築、採用広報、顕在層のみならず潜在層へのアプローチなどの人材発掘(ソーシング)、採用後のオンボーディングと、広範囲における一気通貫した採用活動」を意味します。従来の採用活動(リクルートメント)はタレントアクイジションの一部と認識されています。

米国パソナでは、在米日系企業様の戦略的な人材獲得を強力サポートするために、今後タレントアクイジションという視点からも企業様の採用支援をさらに強化していきます。今回はタレントアクイジションという概念の誕生背景や環境についてまとめましたので、ぜひご参照ください。

タレントアクイジション誕生の背景

人事組織の変革

2000年代から米国IT企業を中心にタレントアクイジションという言葉がちらほらと出始めました。この背景としては、熾烈なグルーバル競争に勝ち残るために企業の組織変革の必要性が叫ばれるようになり、そのなかで人事部においても組織変革が起こり始めます。これは、それまでオペレーションが主体であった人事部を、企業経営に貢献できる組織に変化させるというもので、HRBP(Human Resource Business Partner)やCHRO(Chief Human Resource Officer)というポジションの重要性もこの頃から謳われるようになりました。

HRBPとは、経営者や事業責任者の戦略的パートナーとして、人と組織の面から事業成長を促していく人事部や人事担当者の役割を指します。かつての人事部は、人事制度を設計するセンター・オブ・エクセレンス(Center of Excellence)や、人事実務を担うオペレーションが主要業務でしたが、これに加えて戦略人事(自社の経営戦略の実現に向けて行われる人的マネジメント)を実現させるためのHRBPの重要性が増してきました。そのため2000年代から、米系企業では人事部がHRBPにフォーカスするために、制度設計やオペレーションの仕事をアウトソースするなど、シンプルな変革を行ってきました。これは当時の米系企業にとっても大きな変化であり、人事部という概念のグレートリセットでした。ただ、誤解のないように付け加えますと、制度設計やオペレーションが大事ではなくなったというわけではなく、企業の人事部として集中するべきところが戦略人事へ変化している表れとご理解ください。

またHRBPと同時に、CHROというポジションも出現します。CHROとは企業の経営幹部のひとりとして人事権を一任され、人事関連の業務を統括する最高人事責任者として人事戦略を推進する役職のことです。これからの時代は「ヒト」が最も重要な経営資源になるという観点から、経営レベルでの人事戦略の落とし込みや施策実行などを迅速に推進できる経営体制を構築していかなければなりません。ビジネスの成功に繋がるような人事的アドバイスを企業経営陣に与えることがCHROの仕事であり、また同じマインドセットをもって各部署をサポートするのがHRBPの仕事になります。

では、なぜいま、「これからの時代は「ヒト」が最も重要な経営資源になる」と言われているのでしょうか?その理由のひとつに、2020年8月から米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して「登録者(企業)の事業を理解するため、重要な範囲において、人的資本の状況説明を求める」ようになったことが挙げられます。開示するべき具体的な内容は、今のところ企業の自主性に委ねられるようですが、その説明例として「人材の誘致、育成、維持」と言及されています。SECによるこの追加変更は、投資家からの強い要望によるものとのことで、投資家にとっては「財務情報のみでは、企業の将来性に対しての判断ができない。どういう人がどういう組織でどういう働き方をしているのかが投資判断に必要」になってきているようです。なおこれに伴い、人的資本情報を開示するための、国際標準ガイドライン「ISO 30414」(社内外への人事・組織に関する情報開示のガイドライン)に対しても注目が高まっていますが、こちらについては別のタイミングでご紹介させていただければと思います。

上記のような市場変化や組織変革により、人事部は経営者とより密接に、各部門やプロジェクトの特性や課題に応じて、的確に迅速に専門知識をもって判断することが強く求められるようになりました。そしてそのなかで、次世代の企業経営を担うべき優秀な人材を獲得するため、採用組織は人事の中核組織として位置づけられ、誕生した採用手法がタレントアクイジションなのです。

※参照
Bloomberg Law / SEC Wants More Human Capital Disclosures But Won’t Say How Much (1)

 

タレントアクイジションをとりまく環境

HRテックの台頭

タレントアクイジションの普及を後押しするような環境要因のひとつは、HR テックの台頭が挙げられます。

HRテックとは、AI(人工知能)やビッグデータ、クラウドなどの最新テクノロジーを駆使し、採用・育成・評価・配置など人事業務の効率化と質の向上を目指すソリューションを指しますが、採用分野においても2000年前後を皮切りに、ソーシャルメディアリクルーティング、ダイレクトソーシング、リファラル採用など、様々な方法が生まれ進化しています。例えば、採用においては、採用された方の入社後に実際に見えてきた業務経験やスキル、企業風土がマッチしない場合、「想像していた仕事や環境と違う」と該当者が感じてしまい、早期離職につながるケースがよく見受けられます。このようなミスマッチに対しての対策として、ビッグデータをもとにしたAI分析を役立てることができます。具体的には、自社で活躍する人材の特徴やスキル、経験などを膨大なデータから分析し、応募者のエントリーシートチェックや面接においてAIを活用することで、自社に適した人材候補を予測としてピックアップし、採用のミスマッチを防ぐことができるのです。もちろん最終的な判断は、人事担当者が責任をもって行う必要がありますが、根拠のあるデータをもとにした分析結果を参考にすることによって、ミスマッチを低減し、早期離職や内定辞退を防ぐことに役立たせることができます。

上記で挙げたのは一例ですが、このようなHRテックの普及により、これまで人事担当者の経験に頼ってきた業務の一部を補い、自動化が可能になりつつあることから、各採用プロセスにおいて効果的・効率的にテクノロジーを活用する企業が増えています。言い換えれば、これらのテクノロジーを包括的にどのように活用し、そこから得たデータをどのように判断して、採用に役立てていくのかが、採用プロセス全般、つまりタレントアクイジションを成功させるうえで重要なポイントになってきているのです。

 

まとめ

~自社の採用プロセスの見直しを~

タレントアクイジションの誕生背景やとりまく環境を見てきましたが、熾烈なグルーバル競争に勝ち残るため、優秀な人材獲得のため、各企業は人事組織のトランスフォーメーションをまさに今、行っているところです。採用においても、従来の「待ち」の採用方法から、実行可能なあらゆる手段を使う「攻め」の採用であるタレントアクイジションへ移行しつつあります。従来の採用に対する概念を抜本的に変えないとタレント人材獲得競争には勝てない状況になったと言えるでしょう。

私たちと同様、アメリカにて事業を行う日系企業様には、改めて自社の採用プロセスを見直し、今の時代にあった採用手法、また候補者目線の選考プロセスを包括的に構築することをお勧めします。

なお、米国パソナでは、タレントアクイジションという観点から、「自社にとって適切、かつ、優秀な人材を確保するために必要な準備とプロセス、そして経営戦略を実現する人事部をつくるために、在米日系企業にとって必要なものは何なのか?」を探るためのウェビナーを下記の通り開催いたします。ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

 

【米国 2021年6月23日(水)】
米国パソナ主催ウェビナー
在米日系企業が抱える人事組織の課題
~優秀な人材獲得のための適切な採用プロセスと人事部のあるべき姿~

ウェビナーの詳細とお申し込みはこちらから

米国パソナの「Human Resource Solutions」
「人事」からはじまる「経営戦略」

【お問い合わせ】

Pasona N A, Inc.
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