【米国人事基礎知識 】リタイア後にどのくらいお金が必要か?~アメリカのリタイアメントプランニング~

人事・組織

更新:01/20/2021

アメリカのリタイアメントプランニング

今回は、従業員のリテンション対策としても重要な一手となる、Qualified Plan(企業年金)の401(k)制度についてご紹介します。
アメリカの退職年金制度には公的年金の ソーシャルセキュリティーがあり、それを補うものとして私的年金に加入する場合が多いです。私的年金には大きく分けて、企業年金 であるQualified Planと個人年金であるIRA (Individual Retirement Account)があります。「いつまで働くのか?」「何歳でリタイアするのか?」「老後にどんな暮らし方をしたいのか?」、これらの準備や計画を行うことは今後暮らしていくうえで重要なトピックです。
アメリカでは「リタイアメントプラン」というと、老後資金をためるための税法上の優遇措置(401(k)やIRAなど)のことを指し、一般的に企業側は福利厚生の一環として企業年金制度を従業員に提供しています。

退職までに約502Kの蓄えが必要

アメリカの公的年金であるSocial Securityは、10年以上拠出すると62歳から受給開始できますが(注:1960年以降に生まれた人は67歳にならないとFull Benefitがもらえない)、受給額は受給開始年齢と収入により変化します。「年収60Kの人が67歳でリタイアしたとすると、月額として受給できる額は$2,119/month、100Kの人だと$2,687/month(*1)」と言われている一方、年代別の支出額平均としては、「65~74歳:$67,230/year=$5,603/month、75歳以上:$55,432/year=$4,620/month(*2)」という報告があります。つまり、年収60Kの方が67歳でリタイアをする場合は、残りの人生約12年間(アメリカ平均寿命の約79歳)を暮らしていくために、単純計算で$5,603-$2,119=$3,484/month×144 months=約502Kの蓄えが必要になると言えます。

そこでリタイアメントプランのひとつとして考慮されるのが企業型年金 401(k)です。
企業から年金などの福利厚生プランを提供することは、従業員の退職後の生活を支えるだけではなく、従業員リテンションにも影響があります。SHRMが調査した「2019 Employee Benefit Survey(*3)」によると、アメリカにおける93%の米系企業が企業型年金 401(k)を提供しているという結果が出ています。

企業にとっての401(k) の利点

401(k)は、米国では最も馴染み深い確定拠出型企業年金制度で、日本での確定拠出年金に相当し、従業員が給与の一部を拠出金として長期投資にまわすことができる退職貯蓄口座を指します。また、雇用主は従業員の拠出額に対して、(上限額内で) 一定額を上乗せでき、これをマッチングと呼びます。この従業員の拠出額は全額が所得控除の対象になるため、この制度を活用し、税制優遇を受けながら老後資金の準備として利用することが一般的です。

自分の属している企業が、401(k)を提供しているのか、何%のマッチングを設定しているのかは、従業員にとって非常に関心が高く、401(k)の有無によって、企業の従業員リテンションや人材採用活動にも大きく影響があります。提供するかしないかは各企業の任意となりますが、提供する企業は、通常、税制上の優遇を受けられるなどの措置があります。

在米日系企業の401(k)導入率

在米日系企業を対象に米国パソナが実施した「2020Salary&Benefit Survey」によると、参加企業の63.2%が401(k)を提供しており(図1)そのうち78.6%の企業がマッチングを提供している(図2)という結果が出ています。しかし、赴任期間が決まっている駐在員の方々にとっては、401(k)の加入に十分な注意が必要です。それは、日本への帰任後、企業によっては401(k)の継続ができないケースや、401(k)口座から早期(59.5歳未満での)引き出しを行うためにペナルティの支払い義務があるケース、また、将来日本でお金を受け取るためにアメリカ銀行口座を維持する必要があるなど、様々なリスクも考えられるからです。
そのため、駐在員の方には、所属企業と同企業の401(k)プロバイダーと事前にご相談されること、また企業人事部の方には、上記のリスクを加味したうえで従業員からの相談に応じることができるような体制づくりをお勧めします。弊社でも、派遣登録社員を含む全社員を対象に、福利厚生制度の一環として401(k)およびマッチングを提供することで、安心して勤務頂ける環境を整えています。今後、401(k)を含めた福利厚生制度の充実化は、従業員のリテンション対策としてもますます重要になってくるでしょう。

 

図1:導入している福利厚生(在米日系企業対象)

図2:従業員の拠出率に対する会社側のマッチングの有無(在米日系企業対象)

 

 

参考記事:
​​​​​​(*1) Here’s How Much Social Security Benefits Are by Age and Income Level / The Motley Fool
(*2)   How much will you spend in retirement? / Fidelity
(*3) 2019 Employee Benefits / SHRM

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