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Volume 16 2010年 6月
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グロスアップの基礎知識 3 (課税対象所得-続編)


前回に引き続き課税対象所得についてもう少し掘り下げてみましょう。 グロスアップ計算をする会計事務所のスタンスは、「クライアントが提出した所得情報(課税対象所得)に基づいて計算する」です。つまり、クライアントから所得情報が提出されなければ計算に含めないしその責任も負わない、というものです(少々極端ですが)。 将来給与監査が入り、所得の申告漏れを指摘された場合、何故含まれていなかったのかというところが論点になると思われますが、「所得が報告されていなかったのでグロスアップに含めていなかった」と会計事務所は回答してくるでしょう。 前回説明した「帰国後の賞与」や「確定申告の結果」などはインパクトも大きく、また、会計事務所で数字を把握しているので自動的に所得認識されている場合も多いと思われますが、その他についてはやはり会社がある程度判断して会計事務所に報告していく必要があるのではないでしょうか。

所得認識が必要なもので、グロスアップ計算に漏れがちな項目を以下にリストしてみますので再確認してください。

税金へのインパクトも大きく、調査官もその存在を認識しているもの

1. カンパニーカーの個人使用分(通勤含む)
2. 一時帰国費用
3. 現地で支給する医療補助、教育費補助
4. 会社が負担する個人確定申告書作成費用
5. 赴任、帰任に伴う引越し手当(用途不指定の一時金)

税金へのインパクトは小さいが、指摘を受ける可能性が高いもの

1. Group Term Life Insurance (グループ団体生命保険)
2. 低金利貸付 (従業員に低金利(無利息)で貸し付けている場合)
3. 米国内の出張手当(Per Diemを超える部分)

インパクトが非常に大きく、対応を事前に検討しておくべきもの

1. 会社が負担する日本の確定拠出年金の拠出金
2. ストックオプション (日本とは課税の認識が違います)
3. 在米中に支払う退職金(会社都合の退職の場合)

米国は日本に比べ所得認識の範囲が広いので注意が必要です。 毎月の給与に含め本人に支給しているのであれば問題ありませんが、注意すべきは本人に支給しないが課税対象となる所得についてです。会社が業者に直接支払っているものをもう一度洗いなおして、所得認識が必要なものはグロスアップ計算に含めるようにしましょう。 気づいた時点から正しく処理を始めていれば、調査官は過去の部分に関しては寛容に取り扱ってくれるようです。


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